滋賀県近江八幡市JR安土駅前で社会保険労務士をしている小辰です。
(ご相談・ご依頼は日本全国対応可能です。ぜひ、お気軽にご連絡ください)
就業規則を作成する際には
①自社で作る
②専門家である社会保険労務士に依頼する
といった方法があるかと思います。
私自身の考えとしては②をおススメ致しますが、費用面を考慮して①の方法を取る会社もあるかと思います。
この辺りは会社の判断になりますので、会社にとってベストな選択をして頂きたいです。
さて、皆さんに質問です。
就業規則を作成後にはやらなければいけない事がいくつかありますがご存じでしょうか?
作成後に正しい手順を踏まないと、せっかく作った就業規則も効力のないものとなってしまいます。
今回は意外と知られていない就業規則作成後の届出までの流れを解説していきます。
そもそも就業規則とは?
就業規則というのは企業運営を円滑に進めるため労働者の労働条件や職場規律をを画一的に規制するための、職場におけるルールブックと言われています。
では一体どんな内容が書かれているのかというと
①労働時間に関すること(始業・終業時間、休憩時間など)
②賃金に関すること(賃金の支払日、昇給の時期など)
③退職に関すること(定年年齢の有無など)
主にこれらの事が書かれています。
就業規則は常時10人以上の労働者を使用する事業場で作成及び届出が求められています(労基法89条)
従業員が10人未満の事業場に作成及び届出は義務付けはされておりませんが、私自身の考えてとしてはそういった会社に置いても作成して欲しいという思いはあります。
作成後の流れ
就業規則は作成したら終わりというわけではありません。
労働者代表の方に意見を聞き、就業規則の周知を行わなければなりません。
それらの正しい手順を踏むことで就業規則に法的な効力が生まれます。
作成後に必要な書類や手順について解説していきます。
※今回は電子申請での申請を想定したものではなく、労働基準監督署に直接届出をする際の流れとなっております。といっても電子申請で届出する場合も流れや考え方は同じですし参考になるかと思います。
添付書類を用意する
当たり前すぎることですが、まずは作成した就業規則を印刷しましょう。
完成した実感が湧いてきて嬉しくなります。
就業規則及び添付書類は2部ずつ作成し届出を求められますので2部印刷してください。
主な届出書類は
- 就業規則
- 意見書
- 就業規則(変更)届出書
となります。
意見書とは
就業規則を作成する際は、一般的に社長さんが中心となって作成を進めていく事になるのではないかと思います。
そこに社労士が入って助言をしたり、場合によっては管理職の方も交えて作成を進めていく事がありますね。
そのため、どうしても社長の考えなどが大きく影響するので労働者の方の意見は反映されない就業規則となってします。
そのため就業規則作成後は労働者の代表者に意見を聴き、意見書を作成する必要があります。
なぜこの様な意見書を作成する必要があるのかというと、就業規則の作成に労働者の方を参加させる趣旨があるためです。
この意見書には注意点が2つあります。
- 意見を聴く労働者代表とはどんな人か?
- 意見を聴いて反対意見が出た場合はどうするのか?
これらを解説していきます。
意見を聴く労働者代表とは?誰でもいいの?
「労働者を代表する者」とは事業場の労働者の過半数で組織する労働組合がある場合はその労働組合、無い場合は労働者の過半数を代表する者(労基法90条)
労働組合のある会社では労働組合が代表する者となりますが、多くの会社では労働組合がありません。
ですので労働組合のない会社では労働者の過半数を代表する者に意見を求めることになるかと思います。
この代表者というのは管理監督者ではないことが求められています。
これは経営者に近い人物ではない、それ以外の労働者に意見を聴いて欲しいという趣旨です。
社長さんの指定した人などでは駄目という事ですね。
労働者代表の方に就業規則を作成、変更した際にその旨を伝え意見書を書いてもらいます。
しかし労働者代表の方に意見を聴いてみたら、反対されてしまうこともあるでしょう。
そのような場合はどうなるのでしょうか?
意見を聴いた際に、反対意見を言われた場合
結論から先に言うと、意見を聴いてみて反対意見が出ても問題ありません。
なぜならあくまでも意見を聴くことを求められているからです。
同意を得ることまでは求められておりません。
ですので反対意見を押し切って届出を出すことは法律上はOKです。
ただ個人的な意見としてはそういった際は話し合いの場を設けて、しっかりとコミュニケーションを取りお互いの考え等を伝える時間があっても良いように思っています。
届出書とは?
さてもう1つの添付書類がこの就業規則の届出書です。
こちらは就業規則を作成した際や就業規則の変更があった際の届出書になるのですが、難しいことを書く必要もありません。
就業規則を制定(変更)した旨を書けばよいだけの書類です。
労働基準監督署への届出
書類が全て揃ったら、いよいよ所轄の労働基準監督署へ就業規則を持っていきます。
所轄の労働基準監督署ですので、どこの労基署でも良いわけではありませんのでご注意ください。
先ほど述べましたように各書類を2部ずつ用意してください。
労基署への届出用として1部、会社での保管用としてもう1部ということになります。
これらを持って労基署へ行ってください。
特に予約していく必要もありません。
窓口にて就業規則の届出をしたい旨を伝えればOKです。
受付印を押してもらい終了となります。
僕も何度か持って行ったことはあるのですが、中身を確認されることはありません。
ですので誤字脱字を指摘されたり、労基法違反が無いかを確認されたりといったことはありません。
意外とあっさりと終わります。
届出後は労働者への周知
無事届け出が終了し受付印を押印して貰ったら、お終い。
と思われそうですがもう1点やらなければならないことがあります。
作成した就業規則を労働者の皆さんに周知しなければなりません。
労基法106条では「就業規則は、常時各作業場の見やすい場所に掲示し、または備え付けるなどの方法により、労働者に周知しなければならない」とあります。
具体的にどんな周知の方法があるかというと
①1人ひとりに就業規則を配布する
②掲示や備え付けを行う
③社内のパソコンなどにデータを保存しておき、いつでも見れるようにする
といった方法があります。
判例の多くでは労働者に周知された段階で就業規則の効力が生じるとあります。
ですので、これらを行わないと就業規則をせっかく作ったとしても効力が生じないという事です。
おわりに
今回は就業規則作成~届出~周知の一連の流れについて解説しました。
社労士として仕事をしていればこういった場面にも多く直面するのですが、そうではない方からしたら知らない事もあったのではないでしょうか?
就業規則に関して相談してみたい、自社の就業規則を一度見て欲しい、この様に思われている方がおられましたらお気軽に弊所までご連絡ください。
弊所が行う「就業規則の作成・変更」について、詳しくはこちらのページをご確認ください。
最後までお読みいただきありがとうございました。