労働安全衛生法で定められている健康診断について

滋賀県近江八幡市JR安土駅前にて社会保険労務士をしております、小辰知己です。

先日、地元の商工会にて健康診断を受けてきました。

個人事業は特に体が資本ですし、こういった機会は積極的に受診しようと考えています。

企業には従業員に対して、健康診断を実施する義務があります。

健康診断は、働く人々の健康を守るために重要な役割を果たします。

「労働安全衛生法」では、企業に健康診断の実施を義務づけており、これを怠ると罰則が科されることもあります。

今回は、企業が実施すべき健康診断の種類やルールについて解説します。

※ブログの内容は、わかりやすさを優先し、内容に一部改変を加えている場合があります。
同様に、分かり易さを優先するために、あえて正確な法律用語を用いていない場合がございます。

企業が実施すべき健康診断の種類

労働安全衛生法では、主に以下の健康診断を定めています。

企業はこれらの健康診断を行う義務があり、以下の健康診断は一般健康診断といいます。

※実際はもっと様々な健康診断がありますが、今回は特に身近な3つの健康診断に絞っております。

定期健康診断

定期健康診断は、労働者の健康状態を年1回確認するために企業が実施する重要な検査です。

検査項目には、身長・体重測定、視力・聴力検査、血圧測定、血液検査、胸部X線検査などが含まれます。これにより、生活習慣病の早期発見や、業務による健康への影響を未然に防ぐことが期待されます。

企業は、診断結果を基に労働環境を改善する取り組みも求められており、健康診断は働く人々の健康維持に欠かせない役割を担っています。

最も皆さんの中でも身近なものではないかと思います。

雇入れ時の健康診断

雇入れ時の健康診断は、新たに雇用する常時使用する労働者の健康状態を確認するために実施する必要があります。

主な検査項目は、定期健康診断と同様に、身長・体重測定、視力・聴力検査、血圧測定、血液検査、胸部X線検査などです。

この診断により、労働者が業務に支障なく従事できるかを確認し、企業は労働者に適した配属や業務内容を判断します。

特に体力を要する業務や有害物質を扱う仕事では、この健康診断が安全管理に大きく寄与します。

ただし医師による健康診断を受けた後。3ケ月を経過しない者を新たに雇い入れる際に、その者が健康診断の結果を証明する書類を提出した場合は健康診断を省略することができます。

特定業務従事者の健康診断

特定業務従事者の健康診断は、深夜勤務や有害物質を取り扱う業務など、健康リスクの高い作業に従事する労働者に対して実施されます。

ですのでこれらの業務に従事しない従業員は受診する必要はありません。

通常、年2回の頻度(6ケ月以内ごとに1回)で行い、定期健康診断に加えて、肝機能や呼吸機能の検査、有害物質に対する感受性チェックなどが含まれます。

ただし胸部X線検査及び喀痰検査については1年以内ごとに1回定期に実施すれば足りるとされています。

以上3つの健康診断をご紹介しました。

企業は、業務の種類や労働環境に応じて適切な健康診断を実施しなければなりません。

健康診断の実施時の賃金支払い

健康診断を受ける時間は一般健康診断であれば賃金の支払い義務はありません。

ただし支払われることが望ましいとされています。

一般的にはほとんどの企業で賃金が支払われている印象です。

なお特殊健康診断(一定の有害業務に従事する労働者及び一定の有害業務に従事していた労働者を対象とする健康診断)においては事業の遂行に絡んで当然実施されなければならない性質であり賃金の支払い義務が生じます。

健康診断を受ける必要のある労働者の条件

基本的に、正社員だけでなく、アルバイトやパートタイム労働者も含めて、1週間の所定労働時間が通常の社員の4分の3以上である場合は、一般健康診断を受診するものとされています。

なお、1週間の労働時間が当該事業場において同種の業務に従事する通常の労働者の1週間の所定労働時間数のおおむね2分の1以上である者に対しても実施することが望ましいとされています。

健康診断を実施しない場合の罰則

企業が法令に基づく健康診断を怠った場合、50万円以下の罰金が科される可能性があります。また、健康診断の未実施は労働者の健康を損なうリスクがあり、労働基準監督署からの指導を受けることもあります。

まとめ

今回は健康診断についての記事を書きました。

労働安全衛生法に基づく健康診断は、労働者の健康を守り、企業の持続的な成長を支えるための大切な取り組みです。

定期的な健康診断を適切に行い、法令を遵守することで、労働者も企業も安心できる職場環境を築きましょう。

また健康診断においては、様々な疑問点をお持ちの方も多いかと思います。

お気軽にご相談ください。

最後までお読みいただきありがとうございました。