船員保険とは?健康保険との違いも解説!

社会保険労務士の小辰です。

突然ですが、皆さんは船員保険というものをご存知でしょうか?

一般的に会社員の方なら健康保険、個人事業主の方なら国民健康保険に加入することになりますし、この2つは知っておられる方も多いかと思います。

それに加えて船員保険というものもあります。

船員保険がどういった人に適用されるのか?

健康保険との違いなどを解説していきます。

船員保険法の歴史

船員保険法は昭和15年に施行されました。

その名の通り、海上で働く船員という特定の労働者を対象にしている制度となります。

当初は疾病給付、失業給付、年金給付を併せて行う総合的な社会保険制度でした。

戦時中の物資輸送の需要が高まり、船員の確保・定着が重要視されていたので船員の方は優遇されていたとのことです。

しかし昭和60年の年金法改正により、昭和61年4月1日から職務外の年金部門が厚生年金制度に統合され、次に平成22年より職務上疾病、年金部門(労災に相当する部分)と失業部門が労災保険制度と雇用保険制度にそれぞれ統合されました。

こういった経緯が船員保険法にはあります。

現在の船員保険は職務外疾病に関する給付(健康保険に相当する保険給付)と労災保険給付の上乗せ給付が行われています。

健康保険法は労災保険給付の上乗せはないため、船員保険法の方が健康保険法よりも保障は手厚いことがご理解いただけるかと思います。

保険給付の内容

では船員保険法の保険給付の内容はどうなっているのでしょうか?

基本的には健康保険法に基づく給付と同じ内容になります。

ただし先ほども述べたように船員保険法の給付は労災保険の上乗せ給付があります。

ですので、労災+船員保険からの給付となりますので手厚い給付を受けることが出来ます。

また健康保険法の傷病手当金は労務を服することが出来なくなった日から起算して3日を経過した日から労務に服することが出来ない期間支給されます。

この様に待機期間として3日間ありますが、船員保険の傷病手当金には待機期間はありません。

また健康保険の傷病手当金は支給期間が1年6ケ月となりますが、船員保険の傷病手当金は支給期間が3年間となり、かなり長期間の給付を受けることが出来ます。

また出産手当金に関しても健康保険法の場合は出産の日以前42日から支給となりますが、船員保険の場合は妊娠の判明した日から支給となります。

これらの事から船員保険法の方が給付が手厚いことがわかって頂けるかと思います。

船員保険の独自給付

最後に船員保険の独自給付をご紹介します。

行方不明手当金です。

どういった給付かというと、職務上の事由により行方不明となった時は、その期間、被扶養者に対して行方不明手当金を支給する。ただし、行方不明の期間が1月未満である時はこの限りではない(船員保険法93条)

支給額は1日につき、標準報酬日額相当額(標準報酬月額の30分の1に相当する額)が支給されます。ただし、船舶所有者から報酬が支払われている場合はその差額が支給されます。

また支給期間は行方不明となった日の翌日から3ヶ月を限度として支給されます。

また行方不明が3ヶ月以上となったときは、行方不明となった日に死亡したものと推定され遺族年金が支給されます。

職業柄遭難してしまうことが予測されますので、そのための保険給付である事が予想されます。

おわりに

今回は船員保険法について紹介しました。

始めて聞かれた方も多かったのではないでしょうか?

また健康保険の給付に関しても発信していこうと思います。

こたつ社会保険労務士事務所では健康保険法の給付の手続きの代行を承っております。

また無料相談も実施しております。

お気軽にお問い合わせください。

最後までお読みいただきありがとうございました。