試用期間とは?

滋賀県近江八幡市JR安土駅前で社会保険労務士をしております、小辰知己です。

今回は試用期間に関しての記事を書きたいと思います。

そもそも試用期間とは正規雇用などの長期雇用をする場合に入社後一定期間を「試用」の期間として、その間に労働者の人物・能力を評価して採用するかどうかを判断する制度をいいます。

多くの企業で試用期間の制度を取り入れておられるかと思いますが、反面正しく理解しておらず間違った運用をしている会社も多くある様に感じています。

そこで試用期間の注意点などを中心に書いていこうと思います。

※こちらの記事は分かり易さを優先するために、あえて正確な法律用語を用いていない場合がございます。

そもそも試用期間は必要なのか?

試用期間について解説していきます。

そもそもなのですが試用期間を設けるかどうかは会社の自由です。

あっても良いですし無くても何の問題もありません。

弊所では試用期間を設けた方がいいというように伝えることが多いです。

また試用期間の長さについてもよく質問をされます。

一般的には3ケ月~6ケ月程度が一番多いでしょう。

期間について特に制約はありませんが、最長1年の試用期間とした事例について無効と判断された判例があります(ブラザー工業事件=名古屋地判昭59.3.23労判439-64)

この点は押さえておきたいですね。

また会社として試用期間を設けるが場合によって設ける設けないというパターンもあります。

試用期間中の労働条件について

また試用期間中の労働条件についてもよく質問がされます。

試用期間中は本来の給与よりも低く設定し、本採用後に通常の給与にするという形が多いです。

反面試用期間中であっても労働条件は同じという場合も多いです。

こちらに関して企業の判断になると言えます。

少し細かい部分ですが、ハローワークで求人票を出す場合には試用期間の長さを記入する項目がありまして、その中に試用期間中は労働条件が異なるか?を記入する項目があります。

決してダメなわけでありませんが、試用期間中の労働条件を下げることで求職者にとってはマイナスの印象になってしまう場合もあるかと思われます。

試用期間中は最低賃金を割ってしまっても良いといった認識をされている方もおられますがそれはダメです。

また試用期間中は社会保険に加入させていない会社なども見受けられますが、それもダメです。

社会保険資格取得の要件を満たしているのであれば、入社日から社会保険への加入をする必要があります。

試用期間満了後に解雇をしても問題ないのか?

入社から試用期間を設け、労働者のその間の働きぶりや勤務態度がどうも一定の水準を満たしておらず本採用をすることは厳しいと判断する場合もあるかと思います。

その様な場合に試用期間満了後、解雇を言い渡しても問題がないか?というと試用期間が満了したとしても必ず解雇が有効となるとは限りません。

もちろん通常の解雇よりも広い範囲で解雇の自由が認められているとされています(三菱樹脂事件・最高裁昭和48年12月12日)

では試用期間満了後の解雇に関してどのような点に注意すべきなのかを解説します。

問題点はきちんと注意指導する

仮に試用期間が3ケ月間であるとしましょう。

従業員の入社から1ケ月が経ち、働きぶりを見ていると会社の求める能力を満たしておらずお客様からもクレームが多い、こういった場合もよくあると思います。

その様な場合はその従業員と面談を実施し、具体的に改善点を注意指導しかつ改まらない場合は本採用ができないことを伝えておく必要があります。

会社側が能力不足を感じていても本人はその様に感じていない事も多く、それにも関わらずいきなり3ケ月の試用期間満了後に本採用拒否をするのであれば労働者本人はまさか本採用されないとは思っていない場合が多く紛争に発展する可能性が高くなります。

ですので試用期間中の労働者には問題点が見られる場合には放置せずに、面談等で改善点を指導し改善するチャンスを与えることが必要です。

おわりに

今回は試用期間に関しての記事を書きました。

特に最後に述べました、試用期間満了=能力不足や勤務態度が悪いなら本採用拒否は当然。と思っておられる方も多かったのではないでしょうか?

こちらの点は特に注意いただきたいです。

弊所では従業員の入社から試用期間満了までのサポートもしっかりとさせて頂きます。

従業員の試用期間や入社後の労働条件などにお困りの方、是非一度お問い合わせください。

本日も最後までお読みいただきありがとうございました。